サッカーの育成年代、特にジュニア世代で最もトレーニングしなきゃいけないスキルってなんだろう!?
今回は、こんな疑問を持たれている父兄指導者向けに長年ジュニア世代で指導してきた私なりの見解は伝えたいと思います。
こんにちは。debuyaです。
サッカーでは様々なスキルがあります。
ドリブル、パス&コントロールなど
ドリブルの中でも抜くドリブルや運ぶドリブル、パス&コントロールの中でもトラップの質、パスを受けるポジショニング、パスの質など細分化していけばキリがないほどサッカースキルが存在しています。
各指導者によって価値観は当然違いますし、トレーニングに正解、不正解はないので意見は分かれて当然です。
しかし、長年ジュニア世代を指導させてもらっている私が日頃から思っているジュニア世代で最も重要なスキルは「観る」というスキルだと考えています。
なぜ重要なスキルが「観る」なのか!?
具体的に説明していきたいと思います。
サッカーにおいて「観る」は全てのスキルの基礎だから
「観る」というスキルがなぜ最も重要なのかと言うと全てのスキルの基礎となる部分だからです。
例えば、サッカーでは早い状況判断を求められますが、状況判断をするためには自分の周りの状況を観ないと状況判断できません。
また、パスを味方に通すためには「パスの精度」が求められますが、それ以上にパスが通るか通らないかを判断しなくてはいけません。
この判断も先ほどと同じで「観る」が必要なスキルになります。
ドリブルも当然「観る」が必要です。
どれだけ優れたスピードを持っていたり、テクニックに優れていたとしても相手ディフェンスが密集している所に向かってドリブルしていては成功確率は下がってしまいます。
しかし、他のチームを見ていると、どちらかと言うとテクニックの事ばかり指摘していて「観る」という事は軽視されているように感じます。
だからパッと見は巧そうに見える子でも試合になったらあまり輝けないという子が多くいるように感じます。
全てのスキルの基礎となる部分が「観る」なので日頃のトレーニングから「観る」を鍛えるトレーニングが必要と感じます。
観るを鍛えるトレーニング
では、観るというスキルはどのように鍛えれるのでしょうか!?
C級ライセンスでも行った「観る」がテーマのトレーニングをいくつか紹介したいと思います。
5対1 おにごっこ①
・トレーニング方法
逃げる5人はライン上にポジショニングを取る
おにはマーカー上にいる人にはタッチできない
ただし、マーカー上は1人のみ
・テーマ
観る(味方、相手、スペース)
予測
駆け引き
・留意点
おにと味方の状況を観ながらプレーを判断する
難易度(負荷)の調節が重要
5対1 おにごっこ②
・トレーニング方法
5人はボールを手に持ってパス交換
ボールは3〜4個
おにはボールを持っている人をタッチできる
・テーマ
観る(味方、相手、スペース)
予測
駆け引き
・留意点
おにと味方の状況を観ながらプレーを判断する
難易度(負荷)の調節が重要
5対1 おにごっこ③
・トレーニング方法
5人はボールを手に持ってパス交換
ボールは2個
おにはボールを持っていない人をタッチできる
・テーマ
観る(味方、相手、スペース)
予測
駆け引き
・留意点
おにと味方の状況を観ながらプレーを判断する
難易度(負荷)の調節が重要
2対2+1サーバー+1ターゲット
・トレーニング方法
2人3組でローテーション
コーチから後方ターゲットへのパスでスタート
攻撃側は2人+サーバーで保持しながら、逆のターゲットへのパスを狙う
ターゲットは左右のコーン間からボールを受ける
中の2人は逆のターゲットに入ってからグリッドを移動し、ボール保持しながら逆のゴール目指す
ボールを失った2人組が守備役として交代
・テーマ
観る(味方、相手、スペース)
予測
駆け引き
・留意点
やみくもにスピードに乗らないで、相手の状況を観察する。
慌ただしくなったら、逆のゾーンにパスしたら必ず3本つなぐなどのルールを追加
ファーストタッチ、ボールの置き所、運ぶことで相手の変化を観る
戦術的要素に入り込み過ぎない
・難度の調整
中央に通してはいけないゾーンだけ設ける
ゴールの幅を広さの調整、ゴール間の距離の調整
縦の長さの調整、シュートラインの設定
DFは必ずどちらかのゴールを守る ⇒ それを観てターゲットは狙うゴールの変化
5対5・3ゴール
・トレーニング方法
攻撃側は、攻撃方向と両サイド3つのゴールを狙える
守備側はボールを奪ったら攻守切り替え
得点したら、自分達のゴールの横にあるボールからスタート
アウトオブプレーになっても攻撃側のチームが、自分達のゴールの横にあるボールからスタート
オプション: 選手の状況を観て、フリーマンを入れる
・テーマ
ゴールを狙う、ゴールを守る
観る(相手・スペース・味方・ゴール・ボール)
・留意点
周りを観て、得点できるゴールを積極的に狙わせる
その中で、相手の変化を観て判断を変えていかせる
ボールを奪ってすぐ得点につながる現象が多ければ、「観て判断して空いているゴールを狙う」というテーマを追求できないので「バックパスを必ずする」 もしくは、「ボールを奪って3本パスをつないでゴールを狙うというルールを加える
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*上記リンクは外部リンクです。
まとめ
観るというスキルは世界的に見ても日本人は苦手にしているスキルです。
この点はJFA(日本サッカー協会)でも指摘されている部分です。
この日本人が苦手としている部分を育成年代から取り組んでおかないと日本サッカー全体のスキルアップには繋がらないと思います。
そのため育成年代の指導者である私たちはテクニックを伸ばしながら「観る」という要素も伸ばしていかないといけません。
遠藤保仁選手、中村憲剛選手、柴崎岳選手のような俯瞰的にピッチ全体が観れる選手の育成を目指して共に努力していきましょう。