「少年サッカーで選手がパスを出すようになるにはどうしたら良いのか!?」
今回は、こんなお悩みを持たれているサッカー経験や指導経験が乏しい新米コーチ向けにお答えしていきます。
本記事の内容は
・少年サッカーで選手がパスを出さない5つの理由
・少年サッカーで選手がパスを出すようになるための4つの解決方法
・少年サッカーでパスは最重要なのか!?
になります。
この記事を書いている私は、サッカーのC級ライセンスを所持して、少年サッカーの現場で約9年間ほどの指導実績があり、チームを県大会で優勝させた実績もあります。
少年サッカーで選手がパスを出さない5つの理由
少年サッカーの現場、特に試合では、パスを出さずにドリブルばかりしている選手を見かけることは少なくありません。
単独で相手のディフェンスを突破していって、そのままゴールしてしまう選手や突破しきれずに簡単にボールを失ってしまい相手に攻められてしまうという場面は多く見受けられます。
少年サッカーの指導者の立場としては、選手にチームプレーをして欲しいと思い、パスを出さない選手に「パスを出せ」と叫ぶことは多いと思います。
しかし、選手(子ども達)には、選手なりの考えがあります。
その考えを理解しないまま、頭ごなしに「パスを出せ」と叫んでも解決になりませんし、指導者と選手の間に信頼関係を構築させることはできません。
私の経験上、選手がパスを出さない理由として大きく分けて5つの理由が考えられます。
それが
・味方を信用していない
・ドリブルをすることが大好き
・パスを出す必要性を感じていない
・パスを出さないのではなく出せない
・親からパスを出さないように指示されている
になります。
順番に解説していきます。
味方を信用していない
チームで一番巧い選手にありがちなケースが味方を信用していないというケースです。
自分がチームの中で一番巧く、味方の選手があまり巧くない場合に
「どうせあいつにパスを出してもボールを取られるだけで俺にリターンが返ってくるわけがない」
と内心思っているからパスを出しません。
このケースは味方を信用させれていなかったり、味方のスキルが足りていないという部分で指導者に大きな責任があると言えます。
ドリブルをすることが大好き
少年サッカーに限ったことではありませんが、試合に勝つことや得点を決めること、失点を防ぐことよりもドリブルで相手を抜くことが一番大好きだという選手は意外と多くいます。
近年では、Jリーグや海外のプロリーグ、W杯などの試合の映像が簡単に見れる時代です。
メッシやロナウドといった世界的なスーパースターのドリブルで相手を抜き去っていくシーンも簡単に観ることが可能です。
そういった良い部分だけを切り取られたシーンを観て「自分も同じように相手をゴボウ抜きすれば、かっこいいなと思っても不思議ではありません。
パスを出す必要性を感じていない
チーム内という枠に収まらず、同年代の中でもドリブル突破を余裕でできる選手にありがちなのが、パスをする必要性を感じていないという部分です。
パスを出さなくても自分がドリブルで相手を抜き去っていけばシュートまでいけるし、点も取れるし、何よりも相手にボールを取られない、という実績がある選手に起こるケースです。
パスを出さなくてもある程度、個の力で攻めれてしまうのですから「パスって必要!?」と問われた時の答え方が難しい選手とも言えます。
パスを出さないのではなく出せない
単純にパスを出さないのではなく、出せないというケースも珍しくありません。
いつでもパスを出せる体勢になっていない、視野が狭いなど、この選手に限ってそんなことないよ!と思っている選手ほど、意外とパスが出せないというケースは少なくありません。
このケースも選手に気付いていなかったり、選手のスキルアップさせれていない指導者の責任と言えます。
親からパスを出さないように指示されている
指導者の知らないところで、親から子どもに対して具体的な指示が与えられているというケースも少なくありません。
このケースが指導者として最も頭を悩ませる問題かもしれません。
子どもにとって親も指導者も重要な存在です。
しかし、サッカーに関しての具体的な指示が親からも指導者からもあり、全く違う内容の指示が出ているのであれば子どもは何を信じて、どのようにプレーすれば良いのか分からなくなってしまいます。
サッカーのスキルを向上させるのは、指導者の役割、親御さんはグッドサポーターというのが正しい姿です。
こういったケースを指導者であるあなたが発見したのであれば、親御さんとしっかりとした話し合いをする必要があるかもしれませんね。
少年サッカーで選手がパスを出すようになるための4つの解決方法
では、これらの理由でパスを出さない選手がパスを出すようになるには、どのような解決法があるのでしょうか!?
私が考える解決方法は
・チーム全体のスキルアップを図る
・パスの必要性を理解させる
・パスを出さないといけない環境を作り上げる
・仲間とのコミュニケーションを多くできる環境を作る
になります。
順番に解説していきます。
チーム全体のスキルアップを図る
昔の子どもに比べて、最近の子どもでは少なくなってきましたが、パスを出さない選手は基本的にチームで一番巧い選手であったり、ジャイアンのような「お山の大将」的存在です。
ジャイアンと同じで周りの選手をのび太くんのように軽視しています。
その解決方法の第一歩として、まずは周りの選手のスキルアップをして、チーム全体のスキルアップを図る必要性があると考えます。
良い意味でチーム内の選手が全員似たような実力なのであれば、1人だけ自分勝手なプレーをすることはほとんどありません。
なので、まずはパスを出さない選手をどうこうよりも周りの選手のスキルアップをすることをおすすめします。
パスの必要性を理解させる
パスを出さないのは、パスを出す必要性を理解していないということも考えられます。
特に多いのは、自分がボールを持った時は基本ドリブルしかしないのですが、ドリブルしていて困った時だけパスを出すという選手です。
本来パスというのは、ドリブルで困った時の非常手段ではなく、相手の守備を崩すための有効な手段のひとつのハズです。
サッカーの試合の中で「なぜパスが必要なのか!?」、「なぜパスが有効なのか!?」を選手に理解させる必要があります。
その改善策は、日々のトレーニングの中で指導者が選手に対してパスの有効性を理解させることしか解決方法はありません。
この場面でなぜドリブルをしない方が良いのか!?
この場面でなぜパスをしないといけないのか!?
をしっかりと選手に理解させましょう。
ただし、選手に理解させるためには、指導者自身がパスの重要性や有効性を理解していないといけません。
まずは、指導者自身がサッカーに関してのスキルアップをするようにしましょう。
パスを出さないといけない環境を作り上げる
パスを出さない選手に「パスを出せ」と声掛けだけをするよりもパスを出さないといけない環境のトレーニングをすることも有効な方法のひとつと言えます。
例えば、トレーニングのゲームの中でパスを繋いでからのシュートじゃないと得点として認めないとかゾーンを区切ってドリブルを禁止にするゾーンを作るなどトレーニング内容の工夫次第で、選手にパスをする習慣を植え付けさせることが可能になります。
また、シンプルに2対1のトレーニングをする際にワンツーの有効性を説明したり、ワンツーと見せかけることによって簡単にドリブル突破が可能になることを説明することによって、パスはボールを取られそうな時の非常手段ではなく、突破するための有効な手段なんだと理解させることができるはずです。
初心に戻って考えてもらうと分かると思いますが、誰でもサッカーを巧くなろうと思ったら練習しかありません。
試合ばかりしていても巧くはなりません。
よく「試合は最大の練習」と言われますが、これも日頃からの練習の積み重ねがあればこその話です。
パスを出さないといけない環境を作り上げて選手に言葉ではなく、本能的にパスの重要性を理解させてあげてください。
仲間とのコミュニケーションを多くできる環境を作る
選手同士のコニュニケーションを増やすことでパスを出そうという意識が増える可能性があります。
現代の少年サッカーでは、小学校は同じでもクラスが違うから特別仲良くないとか、学校自体が違うから会うのはサッカーの練習や試合会場だけなど、日頃の練習では仲良くしていそうでも、実はそれほど仲良くなかったり、お互いのことをあまり知らなかったりします。
パスを出すというプレーは、パスを出す相手のことを良い意味で信用していないと成立しません。
お互いのことを信用し合えるようにするには、コミュニケーションを増やすしかありません。
もしもチームの子ども達が同じ時間を共有できるのが練習や試合の時しかないのであれば、何かイベントをやってみたりしてコミュニケーションが多くできる環境を作ってあげてください。
少年サッカーでパスは最重要なのか!?
さて、そもそも論ですが、少年サッカーにおいてパスを出さない選手に「パスを出せ」と要求する必要があるのでしょうか!?
正直なところ、答えはないと思います。
しかし、
・小学年代からパスの重要性を理解した方が良い
・小学生はフィジカルが弱いのでキックにこだわらなくていい
・神経系が発達しやすい小学生にはもっとボールタッチ(ドリブル)を磨かせるべき
と、どの主張も正解に近い意見かと思います。
私個人としての意見としては、子ども自身が試合の中で「パスが必要」だと感じるのであればパスを教えれば良いと思いますし、パスが必要ないと子どもが感じるのであれば、パスにこだわらなくても良いと思っています。
繰り返しになりますが、例えばパスを出す必要がないと考えている子どもは、多くの場合は自分で何人かのディフェンスを抜いていける子が多いと思います。
良くも悪くも少年サッカーにおいてのディフェンスは、それほど厳しいものではないので、ある程度巧い子やフィジカル的に勝る子であればドリブルで抜くことは難しいことではありません。
それが中学生、高校生と先を見た時に伸び悩みになる可能性があると一般的には考えるかと思います。
しかし、ドリブルで抜けるのに、あえてパスを選択させるというのも私としては納得できません。
個人の能力として、明らかに相手よりも勝っていてドリブルで何度でも抜けるというのであれば、積極的にドリブルを仕掛けさせれば良いかと思います。
ただし、プレーエリアや試合の状況などを加味してドリブルよりもパスを出した方が良かったね!という場面ではパスの重要性を子ども達に説明する必要があるかと思います。
もちろん、指導者の立場としてパスが有効な手段なんだよと誘導することはありますが、絶対ではありません。
私自身も指導者をやり始めた頃は、ドリブルばかりする選手に対して「パスを出せ」と叫んでいました。
しかし、叫んでも改善されないことに気付き、叫ぶことを辞めました。
サッカーのこと、子どものことなど幅広く勉強して、自分なりに仮説をたて、実践していくことで様々なことが分かってきました。
改めてあなたに問いたいのですが少年サッカーにおいてパスは重要なのでしょうか!?
例えば、ドリブルのテクニックがあり、スピードのある選手で小学生の同学年の選手が相手であれば2〜3人をぶち抜いていける選手が自分のチームにいると仮定します。
あなたなら、その選手にどのように声掛けをしますか!?
ドリブル突破なんて通用するのは小学年代だけだからパスを教えないとこの選手は伸びなくなってしまうと考えて「パスを出せ」と叫びますか!?
繰り返しになりますが、パスというのは、攻撃や相手のディフェンスを突破するためのひとつの「方法」です。
ドリブルも相手のディフェンスを突破するための方法だと考えています。
サッカーにおけるドリブル、パス、ワンツー、スルーパスなどは、どれも点を決めるため、相手のディフェンスを突破するための「方法」でしかないと考えています。
パスを出せないのであれば、改善させる必要がありますが、パスを出せるんだけどあえて出さないという選手であれば私は、その選手のプレーを尊重します。
「パス」というプレーは、重要なスキルなんだけど、最重要ではないということも指導者として理解しておかなければいけないと考えます。
まとめ
パスを出さない選手がパスを出す選手に改善するためには
・チーム全体のスキルアップを図る
・パスの必要性を理解させる
・パスを出さないといけない環境を作り上げる
・仲間とのコミュニケーションを多くできる環境を作る
が有効な手段だと考えられます。
指導者の立場でパスを出さない選手がいて困っているのであれば、様々な取り組みをチャレンジしてみてください。
【指導者は子ども達の未来に触れている】
この言葉は日本の育成年代で広く発信されている言葉です。
指導者の振る舞いや雰囲気、言葉遣いなど些細なことで子ども達の人生が変化していきます。
指導者としての完成形はありません。
日々学び続ける必要があります。
あなたが指導者としてまだまだ未熟だと感じているのであれば、子どもを改善する前に自分自身を改善する必要があるかもしれませんね。
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