「パスを出す時の優先順位がわからない」
「パスをする時に何を意識してパスをしなければいけないのかわからない」
今回は、このようなお悩みを持たれているサッカー経験が乏しい少年サッカー指導者向けに答えていきたいと思います。
この記事を書いている私は、サッカーのC級ライセンスを所持して、少年サッカーの現場で約10年間ほどの指導実績があり、チームを県大会で優勝させた実績もあります。
こんにちはdebuyaです。
パスを出す時にどこにパスを出すべきなのか?何を基準にパスコースを選択させるべきなのか?少年サッカーの指導をしていながら選手達にしっかりと教えられていない指導者は意外と多くいらっしゃるように感じます。
実例として多くあるのが、中学生(ジュニアユース年代)での試合です。
選手一人一人は小学生よりも足元のスキルが高く、ボールを持っても簡単にボールを失わないということはできるんだけど、単なるパス回しのゲームになることが多くあります。
「パスでボールを失わない」という聞こえは良いのですが、パスの中身を見てみるとバックパスであったり、横パスばかりであったりと積極的なパスが全くないというゲームを多く見かけます。
そこで、今回はサッカーで重要なパスの優先順位について紹介したいと思います。
パスの優先順位はボールを前進させることが最優先
まず、サッカーにおいてのパスの優先順位の前にサッカーの本質を理解することが重要になります。
サッカーで最も重要なことは「試合で勝つ」ことです。
育成年代では、目の前の勝利よりも選手の育成の方が重要と訴える指導者が数多くいらっしゃいます。
間違ってはいませんし、私自身もそう思います。
ただし、サッカーというスポーツをする上では、必ずどちらかのチームが勝ち、どちらかのチームが負けます。
サッカーは何をするためにやっているんですか?と問われれば試合で勝つために試合を行い、日々のトレーニングに励んでいます。
そのため、この「試合で勝つ」という大前提を指導者、選手、保護者、サッカーに関わる全ての人が忘れてはいけないことです。
試合で勝つために何をしないといけないか?
勝つためには、点を取らないといけません。
そして、点を取るために何をしないといけないか?
点を取るためにボールを前進させないといけません。
この「ボールを前進させる」ということが重要になります。
例えば、自分達のゴール前でボールをどれだけ保持していてもシュートは打てませんし、打ったとしても点を取ることはできません。
相手ゴール近くまでボールを運ぶことによってシュートが打てる確率が上がりますし点が取れる確率が上がります。
ボールを前進させる方法は、シンプルに2つです。
ドリブルとパスになります。
ドリブルはボールを前進させるためのプレーとして有力ですが、使う場面や使い方によってはボールを失うリスクが高くあります。
そのため、よりリスクが少なく、より確実にボールを前進させるためにパスが重要なプレーになります。
1本のパスで相手を何人置き去りにできるか
パスでボールを失わないことが最重要なのではなく、パスでボールを前進させることがサッカーのパスにおいて最重要なポイントになります。
そのため、パスの優先順位としてはバックパスや横パスよりも先に縦パスを最優先に考えなければいけません。
極端な言い方をすると縦パス1本で相手ディフェンスを何人置き去りにできるかが重要なポイントになります。
*ここからは少年サッカーの8人制(フィールドプレイヤー7人)で説明します。
パスを選択する上で一番最初に考えたいことは、相手ディフェンスの裏のスペースです。
MFがボールを持っていたとしてもDFがボールを持っていたとしてもGKがボールを持っていたとしても最初に選びたいのは、相手DF最終ラインの裏のスペースです。
仮に裏へのパス1本で味方選手にパスが繋がるのであれば、相手FP(フィールドプレイヤー)を7人置き去りにすることができます。
このパスの選択肢はいつ、どんな状況だったとしてもイメージしたいパスになります。
ただし、1本のパスで相手7人を置き去りにするというのは、難易度MAXです。
ロングボールを蹴れば精度は落ちますし、相手DFに弾き返される確率も高まります。
ロングボールではなく、グラウンダーのパスではなおさら裏へのパスは難しくなります。
裏へのパスは相手DFも最も警戒するパスなので簡単に通させてくれません。
そのため、ダメだった時に次のパスの選択肢を選ぶことになります。
念を押しますが、最も狙いたいのは相手DF最終ラインの裏です。
ダメだった時には、次に味方FWへと繋げるパスを選択したいところです。
味方FWにパスを繋ぐことができれば相手FPを最低でも3〜4人置き去りにすることができます。
ボールを持っている味方選手がMFであればFWとの距離が近いのでパスは通りやすくなりますが、ボールを持っている選手がDFであればFWとの距離が遠いのでパスの難易度は高くなります。
難易度は高いかもしれませんが、この縦パスも常に狙いたいパスです。
大切なことは、難易度が高いパスを確実に繋ぐことができるか?無理せずにボールを失わないために横パスやバックパスを選択した方が良いのか?の判断は選手自身になります。
むやみに縦パスを蹴りまくって、相手FPにパスカットされていては、意味がありません。
それは、優先順位を守ったのではなく、単に状況判断ができていないという問題でしかありません。
この部分を間違えないでください。
パスの優先順位は、できるだけ遠くから、できるだけ前進させるパスが優先順位が高く、近いショートパス、横パス、バックパスなどが優先順位が低くなります。
追記しておきたいのですが、縦パスの優先順位が高いのは間違いないのですが、仮に左サイドでボールを持っていて左サイドに縦パスを入れようと思っていたら相手ディフェンスが多くいて縦パスを通せる場所がない、逆サイドの右サイドを観るとスペースが多くあり、突破しやすいかもしれないという理由でサイドチェンジのために横パスを選択したというプレーは前向きな横パスと言えます。
優先順位は最上位ではないかもしれませんが、考えておきたいパスのひとつです。
同じことはバックパスにも言えます。
逆サイドに展開させるためのバックパス、相手DFを引きつけるためのバックパスなど、1本のパスに意図があるパスは常に考えておきたいパスだと言えます。
パスはプレーエリアによっても使い分ける必要があります
パスの種類は、大きく分けると以下の4つのような分け方ができると考えます。
・取られるリスクがあるが、繋がればビッグチャンスになるパス
・取られるリスクは少ないが、繋がればビッグチャンスになるパス
・取られるリスクは少ないが、繋がってもビッグチャンスにならないパス
・取られるリスクがあるが、繋がってもビッグチャンスにならないパス
これらのパスを自分達がプレーしているエリアによっても使い分ける必要性があると考えます。
例えば、味方DFがボールを持っていて、相手DFにガチガチにマークされている味方FWにロングボールを蹴ったとします。
これは単純に、取られるリスクがあるが、繋がればビッグチャンスになるパスになると考えられますが、重要なことは本当にパスが繋がると考えてのパスなのかどうかという部分です。
ボールを失えば自分達は守備をしないといけなくなり、相手から改めてボールを奪い返さないといけなくなります。
この攻め方が効率が良いのか?悪いのか?は、各チームの考え方によるので、この場では賛否は言いませんが、確率論で言うと成功率はかなり低いと言えます。
パスで最も考えたいパスは、取られるリスクは少ないが、繋がればビッグチャンスになるパスです。
このようなパスを供給できるプレーエリアはどこですか?と問われれば、相手ゴールからできるだけ近いエリアと考えるべきです。
相手ゴールからできるだけ近いエリアまでボールを前進させるためには、取られるリスクは少ないが、繋がってもビッグチャンスにならないパスを数本繋いでいく必要があります。
ここで多く出てきたのが「ボールを取られるリスクが少ない」というワードです。
サッカーでは、相手にボールを取られるリスクを最小限にしながらボールを前進させることが重要になってきます。
また、自分達のゴールから近いエリアであれば、ある程リスクを最小限にする必要性があります。
リスクを冒しても良いエリアは、相手ゴールから近いエリアです。
・一か八かのパスになって良いエリア
・一か八かのパスになってはいけないエリア
相手ゴールから近いエリアほど、リスクを冒してでもビッグチャンスにつながるパスを供給する。
味方ゴールから近いエリアほど、安全にボールを前進させることが可能なパスを供給する。
これらのケースを考えながらパスの優先順位を判断して選択していく必要があり、選手達に求めていくことになります。
パス&コントロールの精度、状況判断できる能力を鍛えましょう
パスの優先順位に関してはご理解頂けましたでしょうか?
パスの優先順位を理解したとしても、狙った所にパスが出せない、狙ったコントロールができない、狙ったスペースに選手が動けない、狙うべき場所を判断できないでは、どれだけ優先順位を理解したとしても、パスを繋いでボールを前進させることはできません。
そのため、選手達一人一人のパス&コントロールの精度、正しい状況判断を鍛えることが最も重要なスキルになってきます。
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