「ゴールキーパーの決め方がわからなくて悩んでいる」
今回は、こんなお悩みを持たれているサッカー経験が乏しい少年サッカー指導者さん向けに答えていきたいと思います。
この記事を書いている私は、サッカーのC級ライセンスを所持して、少年サッカーの現場で約9年間ほどの指導実績があり、チームを県大会で優勝させた実績もあります。
こんにちはdebuyaです。
この記事を読んでいただいているあなたなら当然ご存知かと思いますが、サッカーと名の付く試合では、必ずゴールキーパーが必要です。
そしてゴールキーパーとして試合に出場できるのは、チームの中で1人だけです。
そのため、ゴールキーパーをどの子にしようか!?何を基準に選ぼうか!?とお悩みの方も多いかと思います。
ゴールキーパーは、サッカーの試合の中で唯一手を使えるプレイヤーだから特別なポジションだ!と言われる方も大勢いますし、ゴールキーパーも他のフィールドプレイヤーと変わらない、1プレイヤーだ!と言われる方も大勢います。
どちらが正しいか?と問われれば、どちらの主張も間違っていないと私は考えています。
ゴールキーパーは
・唯一、ボールを手で扱えることができる
・失点しないための最後の砦
・チームで1人だけユニフォームの色が違う
など、特別な選手とも言えますし、反対に
・フィールドプレイヤーと同じようにゴールキーパーにも足元の技術が求められる
・フォールドプレイヤーと同じようにサッカーの試合全体を理解していないといけない
・フィールドプレイヤーと同じように他の選手に指示を出さないといけない
など、フォールドプレイヤーと同じことを求められる部分も多々あります。
ゴールキーパーが特別か?1プレイヤーと変わらないか?どちらであっても日本では、ゴールキーパーをやりたがらない傾向が現在でも根強くあります。
・グラウンドが土だからセーブする時痛いから
・失点した時に周りから責められるのが嫌だ
・味方が攻めている時ヒマだから
・もっとボールに絡んで自分が得点を取りたいから
などの理由が挙げられます。
漫画でゴールキーパーが主人公であったり、海外事情を知ったり、ゴールキーパーで人気のプロサッカー選手が出てきたりと、一昔前に比べれば、ゴールキーパーの人気は上がってきていると思いますが、ゴールキーパーを誰もやりたがらないチームは、現在でも多いと思います。
子供の多くがやりたがらないわけですから最終的には、少年サッカーの指導者が指名してゴールキーパーを決めることになってしまうかと思います。
そこで、今回は多くの方がお悩みのゴールキーパーの決め方について紹介したいと思います。
今回は、あくまで私が実際にしているやり方を基に紹介しますので、結論的に言うと答えではありません。
各チームに所属している子供の関係性であったり、チーム事情など様々なケースがあり、様々な解決方法があると思いますので、ひとつの考え方や捉え方だと思って読み進めてくれれば良いと思います。
ゴールキーパーの決め方は!?
ズバリ、ゴールキーパーをどうやって決めているかと聞かれたら「ゴールキーパーをやりたい子を最優先にさせている」になります。
理由としては、運動神経や体のサイズよりも「ゴールキーパーをやりたい!!」という子供の気持ちを最重要視しているからです。
私の経験上、体のサイズに恵まれている子や運動神経の優れた子がゴールキーパーに指名されて、常にゴールキーパーをしていたとしても思ったように伸びてくれません。
なぜなら「熱意」が無いからです。
少年サッカーで最も大切なことは、子供達の主体性を育むことです。
指導者や大人が何かの理由を付けてゴールキーパーを指名したとしても、これは「やらされている」という表現にしかならないと私は考えています。
そうではなく、子供自身が「僕がゴールキーパーをやりたいです!」と言う子、「自ら率先してやろうとする子」に私はゴールキーパーをさせています。
例えその子が身長が低かったとしても、運動神経に問題があったとしても、やりたいと言い出した子を最優先でゴールキーパーにさせています。
当然、中学、高校と年代とともにレベルが上がった時に体のサイズで問題が出てきたり、運動神経の問題が出てきたりする可能性はあるよ!という点は、その子にはどこかのタイミングで話をするようにしています。
ゴールキーパーをやりたいと言い出した子が、体のサイズが大きく、運動神経もそこそこ良い子であれば、何の問題もありませんが、現実はなかなかそんな子は現れてくれません。
なので、その子のサッカー人生のためにも今後、起こり得る問題は最初に話するようにしています。
ゴールキーパーをやりたい子が誰もいなかった時
チームの中で誰もゴールキーパーをやりたい子が出てこなかった場合には、基本的には全員にゴールキーパーをしてもらっています。
俗にいうローテーションというやつです。
なぜかと言うと、言い方が悪いかもしれませんが、誰かがゴールキーパーをしないとサッカーは成立しません。
誰もゴールキーパーをしたくないということは、言い方を変えれば、誰かがゴールキーパーをしてくれないと試合ができないということになります。
その「誰か」をある特定のひとりに絞るのではなく、全員で痛みを共有しましょう!というのが私なりの考え方です。
サッカーはチームプレーのスポーツです。
誰かが困っていれば、誰かが助けるのが原則です。
それと同じように誰もゴールキーパーをしたくないのであれば、全員で助け合うことが原則だと私は考えています。
また、全員にゴールキーパーをさせていけば、ある日突然、自分がゴールキーパーをやりたいという子が現れたりします。
その時には、最優先でその子にゴールキーパーをしてもらっています。
複数の子がゴールキーパーをやりたいと言ってきたら
預かる学年によっては、2人や3人など、複数の子がゴールキーパーをやりたいということもあります。
少年サッカーの指導者としては、嬉しくもあり、悩ましい場面でもあります。
このような場合、私は低学年の時点では、ゴールキーパーをやりたいと言い出した子でローテーションでゴールキーパーをさせています。
何度か試合を経験していき、上手くできた、上手くできなかった、などの「成果」が出てくると子供達にも心境の変化が出てきます。
・ゴールキーパーとして常に試合に出たい
・ゴールキーパーはやりたいけど、毎試合じゃなくていい
・たまにゴールキーパーをやる程度でいい
・サブキーパーぐらいがちょうどいい
・やっぱりゴールキーパーは自分に向いてなかった
など、ゴールキーパーに対する熱意の度合いが変化していきます。
指導者目線で、その熱意が感じ取れた段階で正キーパーであったり、サブキーパーであったりを指名しています。
ただし、私自身が大切にしていることは、指名して「ハイ!終了」ではなく、指名した子や指名されなかった子に対して納得してもらえるように説明をしっかりとするようにしています。
子供は、単なる子供ではなく、立派な人間です。
自分なりの考えもあり、価値観も持っています。
指導者が言うことが絶対で子供が服従しないといけないということは、絶対にあってはいけません。
しかし、スポーツの世界である以上、誰かが勝ち、誰かが負けます。
スタメンを勝ち取れる子もいれば、スタメンを勝ち取れない子も必ずいます。
これらの現実から逃げて、決めました、あとはし〜〜らない、では指導者失格です。
子供が相手であっても真摯に受け止めて、しっかりとした説明をするように私は心掛けています。
ゴールキーパーは常にゴールキーパーをさせるべきか!?
少年サッカーの現場でよく議論になるのは、ゴールキーパーの子は、常にゴールキーパーをさせるべきか?フィールドプレイヤーもさせるべきか?という問題です。
結論から言うと、これも答えは無いと私は考えています。
「ゴールキーパーはゴールキーパーに専念した方がゴールキーパーとしてのスキルが上がる!」と主張される方もいます。
「ゴールキーパーも1フィールドプレイヤーと同じスキルを求められているからフィールドプレイヤーも経験させる方が良い!」と主張される方もいます。
私個人としては、どちらの言い分も納得できますし、どちらも間違っていないと考えています。
正解か?不正解か?の討論ではなく、お互いの倫理観や価値観の違いであって、どちらにも言い分があるかと思います。
仏教とキリスト教のどちらが正解か?という議論に正解を言える人はいませんよね?
それと同じだと私は考えています。
ただ、私個人として大切にしていることは、ゴールキーパーをしている子が、どう考えていて、どうしたいか、という意見や考えをできるだけ尊重できるような環境にしたいと考えています。
例えば、「自分はゴールキーパーとしてプロサッカー選手になりたい!プロサッカー選手になるためにゴールキーパーとしてプレーする時間を短くしたくない!」という考えなのであれば、できる限りゴールキーパーができる環境を作ってあげます。
「ゴールキーパーもフィールドプレイヤーのことを理解しないといけない」
「ゴールキーパーを基本したいけど、たまにはフィールドプレイヤーとしても試合に出たい」
という子であれば、フィールドプレイヤーとして試合に出る機会をできる限り作ってあげています。
私が大切にしているのは、子供の主体性であって、プレイヤーズファーストなので、全てを叶えることは不可能であっても、できる限り子供の意見を尊重できるようにしています。
個人的には、ゴールキーパーとして頂点を極めたいのであれば、ゴールキーパーをしている時間をできるだけ増やす方が良いと考えています。
もちろん、ゴールキーパーのことだけを考えていても頭打ちになるので、サッカー全体を理解してもらうことは必須です。
ゴールキーパーのミスを責めない環境作りを心掛けましょう
少年サッカーでゴールキーパーをやりたがらない最大の理由がミスを責められることだと考えます。
ゴールキーパーのミスは自チームの失点に直結しやすいため、周りはミスをしたゴールキーパーを責めがちです。
少年サッカーの試合を観ていても指導者が責めたり、チームメイトが責めたり、チームメイトが責めている場面を指導者が何も指摘しなかったりする場面を今でも多く観ます。
ミスを責められて気持ちが良い選手はひとりもいません。
・ゴールキーパーが重要なポジションだ!
・ゴールキーパーは誰でもできるポジションではない!
と思っている指導者であれば、ゴールキーパーのミスを責めるべきではありません。
ひょっとしたらゴールキーパーを誰もやりたがらないのは、チーム全体としてミスを責める環境になっているのかもしれませんよ。
私は、ゴールキーパーがミスをして失点したとしても絶対にゴールキーパーを責めないようにしています。
それが例え、重要な大会だったとしても責めることはありません。
これは、自分自身に言い聞かせているひとつの約束事です。
もちろん周りの選手にゴールキーパーを責めるような子がいれば、私はその子を怒ります。
私自身は、ゴールキーパーが特別なポジションという意見に賛同しています。
特別なポジションだからこそ、自らゴールキーパーをやりたいと言い出した子に感謝していますし、その子の存在のおかげで他のゴールキーパーをしたくない子がフィールドプレイヤーとして専念できていると考えています。
人間は、ミスを必ずします。
大人である私達もミスをします。
日本人は、ミスをした人間を強く非難する傾向が強いですが、ミスをした人間こそミスをしたくてしているわけではないということを理解してあげれば、非難すること自体、恥ずかしいことだと気付くハズです。
サッカーで共通のキーワードである「リスペクト」。
私の中では、ゴールキーパーに対してこそリスペクトして欲しいと考えています。
まとめ
ゴールキーパーが上手いか下手かで勝率が明らかに違うから指導者がある子を指名する。
この考え方も理解はします。
現実は、その通りで、ゴールキーパーのレベル次第で試合の勝敗は大きく左右されます。
しかし、私自身はチームの勝率よりも子供がどう成長してくれるか!?を尊重したいので、子供の主体性に重きを置いて、やりたい子にゴールキーパーを任せています。
この記事を書いている時点で私は3年生のチームを預かっています。
現時点では、固定のゴールキーパーを設定していません。
この子がやりたいって言い出すんだろうな!?という子はいます。
ゴールキーパーをやりたい子を差し置いて、指導者が他の子をゴールキーパーに指名するとゴールキーパーをやりたかった子はサッカー自体を嫌いになったり、指導者のことを嫌いになったりしますので注意が必要です。
子供が自らゴールキーパーをやりたいと言い出せる環境を指導者の方には作って頂きたいなと個人的には思います。
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