「サッカーでよく使われる言葉、ギャップの意味がわからない」
今回は、こんなお悩みを持たれているサッカー経験が乏しい少年サッカー指導者向けに答えていきたいと思います。
この記事を書いている私は、サッカーのC級ライセンスを所持して、少年サッカーの現場で約9年間ほどの指導実績があり、チームを県大会で優勝させた実績もあります。
こんにちはdebuyaです。
少年サッカーに限らず、様々なカテゴリーで使われるサッカー用語として「ギャップ」という言葉があります。
「ギャップ」という言葉自体は、サッカー界では広く使われており、多くの方が認識している言葉だと思いますが、意味や使い方に関しては、人それぞれによって解釈が曖昧で、共通の認識ではないように感じられます。
サッカーを理解するために言語化させることが近年、重要になってきていますが、曖昧な表現のままでは、全ての選手に対して共通認識をさせることができなくなってしまいます。
そこで今回は、私自身が解釈している「ギャップ」の使い方や認識について紹介したいと思います。
ギャップとは?
サッカーにおいてのギャップとは、ディフェンダーとディフェンダーの間に必ず生まれるスペースのことを一般的には指します。
ただし、見ている人によって捉え方や使う場面が曖昧なイメージであることが否定できません。
個人的には、意図的に生み出すスペースのことをギャップと表現するようにしています。
例えば、
・DFを引きつける動きをするとギャップが生まれる
・DFとMFの間に生まれるギャップを上手く突く(使おう)
・逆の動きをしてギャップを生み出してボールを受ける
などになるかと思います。
ギャップを生み出すメリット
ギャップを生み出したり、攻撃時に上手くギャップを使うことは、メリットでしかありません。
そのメリットを上手く活かすためにチーム全体としての共通認識を持たせる必要があるかと考えます。
チーム全体がギャップを意識することによって生まれるメリットは、最も大きなもので以下の2つだと考えます。
・フリーな状態でプレーが可能になる
・チーム全体としての意思疎通がしやすくなる
順番に詳しく紹介していきます。
フリーな状態でプレーが可能になる
サッカーにおいて相手にマークされている状態とマークされていない状態、どちらが良いプレーができますか?と問われれば当然マークされていない状態だと思います。
そのためボールを受ける(自身が最初にボールを触るタイミング)で相手のマークがない状態のスペースでボールを受ければ思い通りのプレーがしやすくなります。
チームとして意図的にギャップを生み出しボールを受ける選手をフリーな状態でボールを受けれるようにできれば、ボールを受ける本人だけではなく、チーム全体として円滑な攻撃を行うことが可能になります。
マークが付いている状態や厳しいチェックを受けている状態でボールを受けても
・ボールをキープする
・後方へのパスで逃げる
などの選択肢しか持てなくなってしまいますが、フリーな状態でボールを受けることができれば
・シュート
・仕掛けるドリブル
・前方へのパス
・味方が動くための時間を作る
など、選択肢が増えます。
選択肢が増えることによって良いプレーができるようになると考えられます。
サッカーでは、ボールを持ってからどうしよう!?ということよりもボールを持つ前に良い状態でボールを受けようとすることが重要になることを理解しておいてください。
チーム全体としての意思疎通がしやすくなる
この点は、これまで取り組んでいない指導者の方であればイメージしにくいことかもしれませんが、チーム全体としてギャップを使うという共通認識があれば、全体として意思疎通しやすくなります。
なぜならチーム全体として、「どこのギャップを使おう!?」という考えが、生まれるからです。
例えば、ある選手がボールを持っている時に何も狙いがなければ、ボールを持っていない選手達は
・とりあえずボールを持っている選手のサポートに行こう
・俺はボール持ってないから関係ないやと動かない
・逆サイドにボールがあるから俺は関係ないとぼーっとしてる
などになりがちです。
しかし、チームとして
・ギャップを生み出す
・ギャップを活用する
などの共通認識があれば、ボールを持っている、持っていないに関わらず、ギャップを生み出したり、スペースを見つけようとしたりします。
この意図的な動きや状況判断を1人の選手ではなく、チーム全員がするのですから、当然チーム全体としてギャップを生み出そう、ギャップを活用しようという意識が生まれます。
サッカーの最大の目的は、勝つことであり、点を取ることですが、その前の段階として相手ゴール近くまでボールを運んでいく必要があります。
そのボールを運ぶための方法のひとつとして、チーム全体でギャップを見つけ出して、活用するということができれば、円滑なチームとしての攻撃ができるようになります。
ギャップでボールを受ける練習
ギャップでボールを受ける練習は、数多くあると考えられますが、すごくシンプルな練習としては、5vs2がシンプルかと思います。
4vs2のいわゆる「ロンド」にプラス1人足して、真ん中に選手を配置します。
最初は、真ん中の選手を固定してパスを繋いでいきます。
この時重要なのが、4vs2の時によくやる対面の選手に対してのパスを5vs2の時は、一発で対面の選手にパスを通すのではなく、真ん中の選手を経由させて対面の選手にパスを通すことが重要です。
よくある間違いは、5vs2の時でも4vs2の時と同様に対面の選手に一発でパスを通して、真ん中の選手は全くプレーに関与していませんという状態が出てきます。
まずは、なぜ4vs2ではなく5vs2なのか!?ということを選手達に理解させることが重要になります。
サッカーではDFから一発でFWにパスが通せるのであれば、苦労はしません。
それができないからDF〜MF〜FWとボールを繋いでいかないといけないのです。
5vs2の縦に並ぶ3人は、DF〜MF〜FW、真ん中の選手はMF的な役割を担っているということを理解して行わないと練習の意味がなくなってしまいます。
裏を返せば、練習の意図が理解できていて、真ん中の選手が上手くギャップでボールを受けることができるようになれば円滑なパス回しが可能になります。
これは、実際のゲームにおいても同じことが言えます。
真ん中の選手を固定した状態でできるようになったら次は、流れの中で真ん中の選手と外側の4人の選手の誰かが入れ替われるようにできるようにしましょう。
例えば最初は、外側の選手が真ん中の選手にパスを出したら真ん中の選手と入れ替わるなどのシンプルなルールでも構いません。
真ん中の選手が入れ替わることによって
・パス&ゴーの意識
・チーム全体としての流動性
を意識させることが可能になります。
前もって言っておきますが、流動性を持った5vs2の練習は、小学生にはかなり難易度が高いと言えます。
そのため、ご自身が預かっている選手達のレベルに合わせた難易度設定が重要になりますので、その点は事前に理解しておいてください。
まとめ
サッカーにおいてギャップを活用することは、重要なキーファクターになっているので必然的に現場レベルでも多く使われる言葉であると言えます。
継続的に選手達にギャップの意識を持たせることによって選手達も理解できるようになってきますので、指導者は上手く選手達に説明や理解をさせれるような工夫をしてみてください。
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