「サッカーでボールを奪う教え方がわからない」
「サッカーでのボールの奪い方がよくわからない」
今回は、こんなお悩みを持たれているサッカー経験が乏しい少年サッカー指導者向けに答えていきたいと思います。
この記事を書いている私は、サッカーのC級ライセンスを所持して、少年サッカーの現場で約9年間ほどの指導実績があり、チームを県大会で優勝させた実績もあります。
こんにちはdebuyaです。
前回の記事で、ボールを奪う指導の際に、まず最初に選手にして欲しいことにボールを持っている相手との間合いを詰めれるようにすることをご紹介させてもらいました。
詳しく知りたい方は、【サッカーでボールを奪う指導案1】まずは練習の前に理解しよう!を参考にしてみてください。
さて、相手との間合いを詰めれるようになれたら、今度は
・ボールを持っている相手に抜かれない
・ボールを持っている相手からボールを奪う
というディフェンスにとって重要な部分を追求していかなければいけません。
最終的には、どちらもできるようにならなければいけませんが、サッカースキルがまだ未熟な小学生に対しての指導では、「抜かれない」ということよりも「ボールを奪う」ということに重きを置いて指導することを私は推奨しています。
理由としては、「抜かれない」という要素は、どちらかと言えば「受け身」なディフェンスの考え方です。
また、抜かれないという要素は、ある程度レベルが上がってからでも練習を繰り返していけば、自然とできるようになります。
反対に、「ボールを奪う」という要素は、どちらかと言えば「攻撃的」なディフェンスの考え方でチャレンジ精神が必要になります。
ボールを奪う、ボールを奪い切るというディフェンスは、誰でもできるディフェンスではありません。
日々の練習や試合を繰り返し行い、ボールを奪い切るということをチャレンジしていかなければ身につきません。
そのため、私が預かっているチームでは、ボールを奪いにいこうとした結果、相手に抜かれてしまったとしても「ナイスチャレンジ!」と選手を褒めています。
もちろん、学年が上がっていけば、より抜かれないこと、ボールを奪うことの両方を追求していきますが、低学年の時であれば、結果的に抜かれたとしてもボールを奪いにいくことへのチャレンジは、ナイスチャレンジと褒めています。
何も考えず、何もチャレンジもせずに抜かれることは、馬鹿野郎ですが、そうならないために指導者が選手にボールを奪いにいくことの重要性を理解させて、チャレンジさせることを促す必要性があると私は考えています。
ボールを持っている相手に選手が近づけなければ、いつまで経ってもボールを奪えないことは前回お伝えしました。
では、相手との間合いが詰めれるようになった後に、より具体的にどうしなければいけないのかを紹介していきます。
間合いを詰めれるようになった後にして欲しいこと
ボールを持った相手との間合いが詰めれるようになった後には、大きく分けて5つのことを意識して欲しいと私は考えています。
まず、
・何を観るのかをはっきりさせる
・観た上での状況判断をさせる
この2つをできるようにしなければいけません。
そして、より具体的なプレーの部分では、
・相手に近づくにつれて細かいステップワークをする
・前重心にするのではなく、後ろに重心を残す
・足を出さずにボールと相手の間に体を入れれるようにする
この3つを意識したプレーができるようにならないといけません。
以上の5つの要素を時間を掛けてできるようにならないといけないと私は考えています。
もちろん、より細かく言うとボールを持っている相手の状況次第でボールを奪いにいくプレー内容を変えないといけません。
ただし、今回は、より低学年に近い、まだサッカースキルが未熟な選手をイメージしてご紹介していますので、そんなレベルの話はいらないという方であれば、あまり意味のない内容になるかもしれませんのでご理解ください。
では、5つの要素をより具体的に詳しく紹介していきます。
何を観るのかはっきりさせる
ボールを奪いにいく時に何を観るかというと
・ボール
・ボールを持っている相手
・ボールとボールを持っている相手の両方
この3択になると思います。
小学校低学年の子に多くありがちな話ですが、ボールを奪いに行った時に何を観てた!?と後から質問すると子供の頭の中で(?)マークが浮かぶ子がかなりいます。
要は、漠然とボールを持っている相手の周辺を観ていて、具体的に何を観ているという自覚がない子が非常に多いです。
しかし、現実はボールかボールを持っている相手のいずれかをしっかりと観ないと上手くボールを奪うことはできません。
では、最初に挙げた
・ボール
・ボールを持っている相手
・ボールとボールを持っている相手の両方
の3つの中で、どれが正解ですか!?と問われると正解は無いと私は考えています。
あえて正解を言うのであれば、選手が相手からボールを奪いやすいモノを観るが正解だと考えます。
選手の中には、ボールを観た方が、相手のフェイントに引っ掛かりにくいと言う選手もいますし、相手の足元や相手の目を観た方が、相手が何をしようとしているのか分かりやすいと言う選手もいます。
この部分は、人それぞれにやり易い、やり難いがあると私は考えています。
なので、各選手が練習を繰り返して、ボールを奪い切る、相手に抜かれない為に何を観れば良いのか!?を理解させる必要があると考えます。
ただし、個人的に思うのは、ただなんとなく漠然とボールを持っている相手の周辺を観ていても上手くなっていかないと考えています。
また、ボールを観るでもボールだけしか観ていないと正しい状況判断ができなくなってしまいます。
なので、選手がボールを奪うために何を観れば、ボールを奪うことができるのか!?をしっかりと意識させていく必要があると私は考えています。
観た上での状況判断をさせる
ボールを奪うためには、素早い状況判断が重要です。
・ボールを持っている相手が前向きの状態なのか、後ろ向きの状態なのか!?
・ボールを持っている相手が素早く次のプレーができる状態なのか、もたついているのか!?
・ボールを持っている相手の近くに相手の味方の選手がいるのか、いないのか!?
など、状況判断しなければいけない要素はかなり多くあります。
練習や試合を繰り返していき、レベルが上がってくれば、多くの情報処理を素早くできるようになりますが、低学年の子やサッカースキルが未熟な子であれば、多くの状況判断をさせることは、非常に困難になります。
そのため低学年などの時点では、まずボールを持っている相手が前向きの状態なのか、後ろ向きの状態なのか!?などの基本的な部分を観れるようにするのが良いかと思います。
ボールを持っている相手が前向きの状態なのであれば、足を出してボールを取りに行かない、後ろ向きの状態なのであれば、足を出してボールを取りに行くなどの選択するプレーを変化させていくことを求めていくと良いと思います。
相手に近づくにつれて細かいステップワークをする
ボールを持った相手との間合いを詰めれるようになるにつれて、徐々にサッカーにおいてのディフェンスやボールを奪うためのテクニックを磨いていく必要があります。
そのひとつとして、細かいステップワークが必要になります。
理由としては、50m走のような大幅な走りでボールを持った相手に近づくと簡単に交わされてしまうからです。
サッカーでは、フェイントやスピードを生かしたドリブルなど、様々なケースの攻撃に対処する必要があります。
その時に細かいステップワークを取り入れて様々な方向や角度などに対応できる体勢を作っておかないと簡単に振り切られてしまいます。
レベルの高いオフェンスやドリブルに対応するためにボールを奪う際には、相手に近づくにつれて細かいステップワークができるようにしましょう。
前重心にするのではなく、後ろに重心を残す
相手からボールを奪いにいくぞ!と積極的にボールを奪いにいく時ほど、勢いそのままに後ろに重心を残さずに突っ込んで行きがちです。
勢いのままに突っ込んでしまうとボールを持った相手に簡単に交わされてしまいます。
そうならないために、体は前進するんだけど、重心は後ろに残すことが重要になります。
例えば、相手がシンプルな右に交わすフリをして左に交わすようなフェイントを仕掛けてきた時に前重心になっていると簡単にフェイントに引っかかってしまいます。
しかし、重心を後ろに残しておく事によって、相手のフェイントにも対応しやすくなります。
サッカーの1対1でのディフェンスの基本は、足を出して前でボールを取るのではなく、相手が交わしにきたところを後ろに反転して体を入れてボールを奪うことです。
そのボールを奪う基本のプレーをするために必ず重心は後ろに残しておきましょう。
足を出さずにボールと相手の間に体を入れれるようにする
足を出さずにボールと相手の間に体を入れることは、前述のように1対1のディフェンスの基本プレーと言えます。
実際にサッカーをしたことがある方であれば理解できると思いますが、ディフェンスが足を出してボールを奪いにいくと簡単に交わされてしまいます。
そうではなく、相手が交わしに来るドリブルに対して粘り強く、抜かれないディフェンス、抜かれない中でボールを積極的に奪いにいくディフェンスをしていかないといけません。
なので、ボールを奪うために、相手の体にぶつかっても大丈夫な体の入れ方を選手達に教える必要があると考えられます。
まとめ
小学校低学年の子供が、ボールを持った相手に対して間合いを詰めれるようになったら
・何を観るのかをはっきりさせる
・観た上での状況判断をさせる
・相手に近づくにつれて細かいステップワークをする
・前重心にするのではなく、後ろに重心を残す
・足を出さずにボールと相手の間に体を入れれるようにする
これら5つのことを意識して練習をさせることをおすすめします。
これらのことを意識して実際にディフェンスができるのであれば、小学年代であれば、この段階でかなりの確率でボールを奪うことが可能になると考えられます。
最も大切なことは、頭の中で理解することではなく、実際にチャレンジしてトライ&エラーを繰り返しながら成長していくことが重要です。
まずは、何事もチャレンジして、ボールを奪うスキルを身につけられるように指導してみてください。
守備の判断力を養う〜ジュビロ磐田のディフェンストレーニング〜[サッカー 378-S 全4巻]
*上記リンクは外部リンクです。