「ディフェンスの時の体の入れ方がわからない」
「ディフェンスの時の体の入れ方を鍛えるトレーニングが知りたい」
今回は、このようなお悩みを持たれているサッカー経験が乏しい少年サッカー指導者向けに答えていきたいと思います。。
この記事を書いている私は、サッカーのC級ライセンスを所持して、少年サッカーの現場で約10年間ほどの指導実績があり、チームを県大会で優勝させた実績もあります。
こんにちはdebuyaです。
少年サッカーの試合を観ていると相手のドリブルに対して足先だけでボールを奪おうとして簡単に抜かれてしまうシーンを非常に多く見かけます。
ドリブルで簡単に抜かれてしまうと、チームとしてのディフェンスのバランスが崩れたり、簡単に失点に繋がったりして、試合で勝つことが難しくなってしまいます。
また、ディフェンスがゆるいとチーム練習をしていてもオフェンスの質が上がってこず、練習では上手く点を取れるけど試合になったら点が取れないという状態にもなりやすいので、チームとしてのディフェンス力を上げる事は非常に重要です。
ディフェンス力を上げるために重要な要素のひとつとして相手とボールの間に体を入れる、体を張ってドリブルを止めるというスキルが重要になります。
多くの子ども達は、プロサッカー選手の試合などを観て、なんとなくのイメージは持っているかもしれませんが、実際にプレーで表現できる子は多くはありません。
そこで今回は、ディフェンスの時の体の入れ方について詳しく紹介したいと思います。
ディフェンスの時になぜ体を入れる事ができないのか?
少年サッカーの試合を観ていると1対1でのディフェンスの対応の仕方に多くの問題点があります。
特に大きな問題点として考えたいのが、
・ボールを前に取りに行こうとする
・足を出して簡単に交わされてしまう
の2つになります。
この2つの問題点を改善しないと相手に簡単にドリブル突破されてしまいます。
レベルが上がれば上がるほど相手のドリブルを止められなくなってしまいます。
ボールを前に取りにいく事や足を出してしまう事は、選手の意識としては積極的にボールを奪おうとしている結果なのかもしれません。
しかし、第三者としての指摘、特に指導者が何が正しくて、何が正しくないかを指摘してあげないと選手は、いつまでも同じようなディフェンスを繰り返してしまい、簡単に抜かれてしまいます。
ディフェンスの時に体を入れるようになる具体的な対応
まず、指導者の方に理解して欲しい事は、1対1のディフェンスの時に大きく分けて2つの場面があることを理解して欲しいと思います。
それが、相手が前向きの時と後ろ向きの時の2つです。
この2つの場面では、ディフェンスの対応の仕方は変わります。
選手にはまず、この状況の違いを判断できる状況判断能力を身につけさせる事が重要です。
その状況判断ができるという前提で話を進めていきます。
まず、最も重要なのは相手が前向きでボールを持っている場合のディフェンスです。
相手が前向きでボールを持っているという事は、相手はなんでもできる状態です。
ドリブル、シュート、パスを自由に行う事ができます。
特にドリブルは抜かれてしまう確率が高くなります。
そのため、相手が前向きでボールを持っている時に、ディフェンス側がまず考えないといけない事は、「抜かれない事」です。
子ども達は、ボールを奪うという意識が非常に強い反面、抜かれないという意識は少ないです。
相手が前向きでボールを持っている時は、「ボールを奪いにいくはNG」です。
相手が「抜こうとした時にボールを奪いにいくが正解」です。
抜こうとした時にボールを奪いにいくためにディフェンスがしなければいけない具体的なことは
・体を斜めにするように意識する
・後ろ重心を心がける
・簡単に足を出さない
・ステップは細かく
・相手が抜きにきたところを後ろ向きに体を入れる
・腕を上手く使う
これらの要素になると思います。
なぜ、これらの要素が重要になるのかを具体的に紹介していきます。
体を斜めにするように意識する
前向きでボールを持っている相手に対して体を正面に向けてボールを奪いにいくのではなく、体を斜めに傾けてボールを奪いにいく事は重要です。
理由としては、体を正面に向けた状態でボールを奪いにいくと重心が前方向にしかなくなり、相手のスピードやフェイントに対応できなくなってしまいます。
相手のスピードやフェイントに対応するために重心を前方向だけではなく、後ろ方向にも重心を持っていく必要性があります。
そのため、体を斜め又は横向きにして前と後ろ両方に重心移動ができる状態を作る事が必要になります。
よりディフェンスのレベルが上がってくるとワンサイドをカットするためにどちらかのサイドから相手を追い込むことを求められます。
その際にも半身で相手に向かっていくことを求められがちですが、まず最初は相手の正面に立つことを意識して抜かれない事を意識するほうが良いでしょう。
後ろ重心を心がける
体を斜めにするように意識するという事とほぼ同じ理由ですが、後ろ重心を心がけてください。
相手のボールを奪いにいくために重心の矢印は前方向に必然的になるのですが、相手との間合いなどを考慮しながら体は前に行くんだけど、重心は後ろ、矢印方向を後ろ側に残す事が非常に重要になります。
認識の問題や運動能力の問題などによって、この意識ができない子どもは、数多く存在します。
子ども達は、どうしても前に走ると重心も前に突っ込みがちになってしまいます。
これでは、相手に簡単に抜かれてしまうので、相手がドリブルで抜きにきた瞬間に対応するために重心を後ろに残す事は非常に重要だと言えます。
簡単に足を出さない
足を出してボールを取りにいく、足だけ出してボールを取りにいくと簡単に抜かれてしまいます。
足でボールを小突けないと抜かれた後に全く対応できなくなりますし、小突けたとしても相手はドリブルの時、体全身で前重心になっているので、足だけではパワーで負けてしまい、やはり簡単に突破されてしまいます。
ディフェンスでボールを奪うためには、体を入れる事が最善ですが、足だけでボールを取りに行ってしまうと体を入れる事が出来なくなってしまうので、簡単に足を出さないようにしましょう。
細かくステップする
ボールを持っている相手に対してダッシュでボールを奪いに行こうとすると思いますが、ダッシュの勢いそのままに相手に近づいていくと簡単に交わされてしまいます。
そのため、相手に近づいていく時に前後左右、あらゆる方向に対応できるようにするためにステップを細かくして近づく必要があります。
ステップを細かくしないと、細かい動きができなくなり、相手のフェイントや動きに付いていけなくなってしまいます。
そのためボールを持っている相手に対して激しくプレッシャーを掛けるのですが、ステップは細かくすることを心掛けましょう。
相手が抜きにきたところを後ろ向きに体を入れる
ボールを持っている相手のボールと体の間に自分の体を入れるためには、相手と同じ方向に体を進行させる必要があります。
そのため、ドリブルで抜こうとする相手の矢印に対して反対方向(相手に向かっていく方向)の矢印でボールを奪いにいく事は良くありません。
簡単に抜かれない粘り強いディフェンスを行うために、相手が抜きにきたところを後ろ向きに体を入れるようにしましょう。
腕を上手く使う
体を入れる時に腕を上手く使わないと逆に相手に体を入れ替えされてしまいます。
一度、体を入れることに成功したのであれば、腕を上手く使って相手を自分の体の前に出させないようにしましょう。
具体的には、手で相手を押したり抑えたりすることは、反則になってしまうので、腕を使って、肩の高さで腕を広げて、相手を前に出させないようにしてください。
イメージとしてはボールキープと同じイメージで行えれば良いと思います。
ディフェンスの時に体を入れれるようになる練習
1VS1
・1VS1の対応の向上
・相手選手との駆け引きの習得
・パス&コントロールの向上
必要な道具
・ボール × 数個
・マーカー × 4個
進め方
・ディフェンス側からオフェンス側にパスを出してスタート
・ディフェンス側は、パスを出したら即座にオフェンスに対してプレッシャーを掛ける
・オフェンス側は、パスをコントロールした後ディフェンスにボールを奪われないように水色のラインのどちらかに突破する
・ディフェンス側は、ボールを奪ったら黒色のラインを突破する
・オフェンス側は、ボールを奪われたら即座にボールを奪い返しにいく
コーチングのポイント
*ディフェンス側
・ボールを奪い切ることを意識させる
・簡単に足を出してボールを取りに行かないことを意識させる
・相手に近づいたらステップを細かくして相手のフェイントやスピードに対応できるように意識させる
・重心はオフェンスの方ではなく、常に後ろに残せるようにプレッシャーを掛けるように意識させる
・体を斜めにして相手が抜きにきた時に並走して対応できるように意識させる
・相手が抜きにきたところを上手く体を入れるように意識させる
*オフェンス側
・ディフェンスとの駆け引きを意識させる(例えばディフェンスの奪いにくる勢いが激しい時には、ワンタッチで交わしてみたり、相手にわざと食い付かせて交わしたり、相手の逆を取るフェイントを入れてみたりする)
・もしもボールを奪われてしまった時には、即座にボールを奪い返すことを意識させる
まとめ
ディフェンスの体の入れ方において重要なポイントは、
・体を斜めにするように意識する
・後ろ重心を心がける
・簡単に足を出さない
・ステップは細かく
・相手が抜きにきたところを後ろ向きに体を入れる
・腕を上手く使う
になります。
小学生の中には、相手との体の接触を恐れて足先だけでボールを奪いに行こうとする選手が多くいます。
もしも体を入れることが苦手な子がいるのであれば、まずは練習の中で相手と体のぶつけ合いなどを練習するのも良いかもしれません。
正しい体の入れ方は、簡単に身に付くものではなりませんが、日々の練習によって成長、改善されていきます。
諦めずにチャレンジし続けてください。
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