「8人制サッカーの3-3-1の活用方法がわからない」
今回は、こんなお悩みを持たれているサッカー経験や指導経験が乏しい新米コーチ向けにお答えしていきます。
本記事の内容は
・8人制サッカーの3-3-1の基本的な考え方を解説
・8人制サッカーの3-3-1のメリットとデメリットを解説
になります。
この記事を書いている私は、サッカーのC級ライセンスを所持して、少年サッカーの現場で約9年間ほどの指導実績があり、チームを県大会で優勝させた実績もあります。
8人制サッカーの3-3-1の基本的な考え方を解説
8人制サッカーの3-3-1というフォーメーションは、現代の8人制サッカーの中で最もオーソドックスなフォーメーションだと言えます。
JFA(日本サッカー協会)が推奨しているフォーメーションは3-2-2ですが、実際の少年サッカーの現場で最も多いフォーメーションは3-3-1なように個人的には感じます。
3-3-1を採用するチームが多い最たる所以は、「攻守にバランスが良い」という部分にあると思います。
11人制サッカーの4-4-2というバランスの取れたフォーメーションの各ポジションを1人ずつ抜いたフォーメーションが3-3-1になるので、8人制サッカーにおいても攻守のバランスを重視して採用しているチームが多くあります。
ただし、サッカー指導者やサッカー経験者であれば、聞くことがある話だと思いますが、フォーメーションの数字は、あくまでひとつの基準であって、絶対的なものではありません。
そのため、3人配置しているDFの攻撃参加であったり、3人配置しているMFのFWを追い越す動きやDFのカバーに入る動きなどを選手達に理解させ実行させないと上手く機能しないフォーメーションだとも言えます。
上手く機能しないという点では、3-3-1に限った話ではなく、どんなフォーメーションでも言えることなのですが、3-3-1の場合、良くも悪くも「バランスよく選手を配置している」と言えるので、得点チャンスの本当に重要な場面であったり、失点してしまう本当に重要な場面であったりする時に人数が全然足りていないということも多々でてきてしまいますので、その点を指導者は理解して選手達に共通認識させる必要があるかと思います。
8人制サッカーの3-3-1のメリットとデメリットを解説
8人制サッカーでの3-3-1というフォーメーションは、指導者の戦いたいイメージの持ち方次第で、どのようなチームになるかが変わってきます。
そのため、同じ3-3-1のフォーメーション同士のチームが対戦したとしてもゲーム展開は、全く同じにならないのも3-3-1というフォーメーションならではと言えます。
ただ、3-3-1だからこそ、やりやすい点ややりにくい点も存在します。
私個人が考える3-3-1のメリットとデメリットは以下のようになると考えます。
メリット
・戦い方のバリエーションが豊富
・相手に合わせて臨機応変に対応しやすい
・サイドバック次第で内容が変わる
・選手同士の連動性を伝えやすい
デメリット
・FWの動きは制限が掛かりやすい
・流動性がないと単にバランスが良いだけ
・中盤の真ん中の選手次第でゲーム内容が変わる
・攻撃が単調になりやすい
順番に解説していきます。
戦い方のバリエーションが豊富
8人制サッカーの3-3-1で最大のメリットは戦い方のバリエーションが豊富なところにあるかと思います。
例えば、ビルドアップの時に3バックの1人を高い位置にポジショニングさせたり、中盤の選手を1人ディフェンスラインまで落としてビルドアップに参加させる代わりに両サイドバックを高い位置にポジショニングさせたりと、いろんなバリエーションの攻撃が考えられます。
また、選手の連動性をどのようにするかによってサイド攻撃を重要視するのか中央突破を重視するのかなどの違いも生み出せます。
指導者がどのように戦いたくて、どのようなサッカーを展開したいのかによって、どのような形にも展開できるのが3-3-1の最大のメリットだと言えます。
相手に合わせて臨機応変に対応しやすい
3-3-1は、何度も言うように攻守のバランスが取れたフォーメーションです。
そのため、相手が2-3-2や3-2-2、4-2-1などの一般的ではないフォーメーションで戦ってきた場合であっても臨機応変に対応しやすい特徴があります。
各ポジションにバランスよく配置している選手を少しずつ位置をズラすことによって、大きなフォーメーション変更なく、相手に対応できるというのもメリットのひとつだと言えます。
サイドバック次第で内容が変わる
8人制サッカーに限らず、近年のサッカーにおいては、サイドバックの役割の重要性がピックアップされています。
・運動量
・相手のプレッシャーを掛けられやすいポジションでのスキル
・攻撃参加
・ボランチのサポート役
・ディフェンスのカバーリング
など、サイドバックの役割は多岐にわたります。
また、「偽サイドバック」などの従来のサイドバックとは違った役割を求められることもあり、サイドバックの選手が優秀であるかそうではないかによってチームとしての強さが大きく変わってきます。
指導者としては、3-3-1を採用した時に、両サイドバックにどのような役割を与えて、どのように戦って欲しいのか!?を共有させて実行させれるかどうかで試合の勝敗は大きく変わってきます。
選手同士の連動性を伝えやすい
この点がメリットと言えるかは、指導者次第かもしれませんが、各ポジションにバランスよく配置している3-3-1においては選手同士の連動性を伝えやすいと考えます。
例えば、左サイドバックが高い位置にポジショニングしている時に左サイドのMFが低い位置にいることは考えられません。
2人のポジションが近く、パスの有効性がなくなってしまいます。
そのため、左サイドバックが高い位置にポジショニングを取れば、左サイドのMFも高い位置を取るのが自然なポジショニングになります。
また、左サイドバックがボールを持っている状態の時に、センターバックが左サイドバックの選手からパスを受けるために左サイドに寄ったポジショニングを取れば、右サイドバックの選手に中央寄りにサポートしてもらうことが自然なポジショニングになります。
これらのように誰かがポジションを寄った時に、他の選手がポジションを固定して動かないのではなく、連動してポジション修正をする必要があるということを伝えやすいのが3-3-1と言えます。
ただし、注意して欲しいのは、あくまで「伝えやすい」という部分であって、実際に選手達全員に理解、実行させることが簡単という意味ではないので、この点は注意が必要です。
選手同士の連動性の必要性を伝えることは簡単かもしれませんが、その都度状況が変わっていくサッカーの試合の中で理解、実行を全ての選手達に教えることは簡単なことではありませんので、考え方によってはメリットともデメリットとも捉えられます。
FWの動きは制限が掛かりやすい
3-3-1に限らず、2-4-1や4-2-1でも同じことが言えますが、ワントップの場合、FWの動き方に制限が掛かりやすいのはデメリットの一つと言えます。
近年、11人制のサッカーでは、ワントップが主流であったり、中にはゼロトップという考え方もあります。
しかし、これらが戦術としてなりたっているのは、ピッチ内にGK以外で10人選手がいることが大きいと考えられます。
例えば4-3-3であればワントップであっても両サイドにウイングが配置されていてウイングの選手とトップの選手でポジションチェンジが容易にできるようになります。
また、4-2-3-1であってもトップの選手が動いて空いたスペースに3の選手が飛び込んでいくことが可能になります。
しかし、3-3-1の場合、ワントップの選手が動いたスペースに中盤の3人の誰かが飛び込んで行った時には、飛び込んで行った選手が本来いるはずのスペースは誰もしない状態になってしまいます。
11人制サッカーの場合、人数が単純に多く、中盤の選手の誰かが前線に行ったとしてもボランチの選手がカバー役に入ったりすることが可能になりますが、8人制サッカーの場合、中盤の選手が前線に飛び出していった時に誰がカバーするのか問題が生まれやすくなります。
ディフェンスの選手がカバーをしようと動けば、今度は裏のスペースが空きやすくなります。
また、最大の障害は、8人制サッカーを実際に行なっているのが小学生という部分です。
小学生は、まだまだサッカー経験の年数が乏しく、考える力も成人に比べれば劣ります。
このような小学生にカバーやサポートなどを理解、実行させることは、難易度が高いと言えます。
選手達の理解が乏しく、連動性や流動性が少なくなるとワントップのFWの動きは制限されてしまいます。
攻撃の起点としてボールを受けてあげる、納めてあげるなどのポストプレーヤーとしての役割しかできなくなってしまい、自由な動きがやりにくくなってしまいます。
そうならないために、3-3-1のフォーメーションや指導者がやりたいサッカーの共通理解をしっかりと行わないといけません。
流動性がないと単にバランスが良いだけ
サッカーは、選手が走って動くことによってマークのズレや数的有利を引き起こし、攻撃しやすい状況を生み出せるという本質があります。
つまり裏を返せば、選手が走らず、同じポジションにい続けると相手の守備を突破できなくなります。
3-3-1は、各ポジションにバランスよく選手が配置されていて、パスコースも多く作りやすいフォーメーションなのですが、左サイドバックが「自分は左サイドバックだから左サイドバックの位置から動かない!」とか「自分は右サイドハーフだから右サイドハーフの位置よりも低い位置に行かない、中央に寄らない」などと動かなければ、局面は全く動かせません。
選手の流動性がないと単にバランス良く選手を配置しているだけで、チームとして戦うのではなく、各ポジションの選手が一人一人それぞれで戦っているようになってしまいます。
攻守両面において、選手が流動的に動く必要性があることを指導者は、選手達に理解させることが重要になります。
中盤の真ん中の選手次第でゲーム内容が変わる
あえてデメリットの部分で記載していますが、中盤の真ん中の選手(センターハーフまたはボランチの選手)がどれだけボールに絡めるかでゲーム内容は大きく変わってきます。
左、右、前線など、あらゆる局面で味方がボールを持っている時に真ん中の選手がパスを受けてあげたり、サポートしてあげたりできるかでチーム全体の出来が変わります。
そのため、実際に3-3-1を採用しているチームの多くは、中盤の真ん中にチームで一番上手い、エース級の選手を配置していることが多いと思います。
エース級の選手が真ん中にいる時は、チームとして機能しているけど、その子が怪我などでいない時には、チームとして全く機能しなくなったというケースも多々出てきてしまいます。
悪い言い方をすると、「エース級の選手に頼ったチーム作りをしている」という言い方になってしまいます。
これでは、チームとして機能していませんし、もっと言うのであれば、指導者として選手を育てていないという言い方もできてしまいます。
そうならないために、指導者は、ある特定の選手にだけ中盤の真ん中を任せるのではなく、選手全員に理解させれるような指導やトレーニングをする必要があります。
攻撃が単調になりやすい
これまで挙げたメリット、デメリットに共通してくる部分ですが、良い部分を引き出せれば攻撃のバリエーションは豊富になりますが、悪い部分ばかりになってしまうと攻撃は非常に単調なものになってしまいます。
ディフェンスが取ったボールを思いっきり大きく蹴って、飛んできたボールを運動能力が高いフォワードの選手が走り勝って単独でドリブルしてシュートまで持って行ったり、サイドハーフの選手が縦にドリブル突破してセンターリングしかしない、など攻撃が単調になりがちです。
それでも試合に勝てるなら、それで良いという指導者も数多くいらっしゃいますが、私個人としては疑問でしかありません。
育成年代のサッカーや指導者は、選手を育てることが最大の目的です。
選手を育てるという広い意味での言葉の中には、サッカーというスポーツの本質を理解させることも含まれているはずです。
・数的有利を作る
・ビルドアップをする
・マークを外す動き
・チームとしての連動性や流動性
など、サッカーにおいて必要な知識を理解させ、実行させることが指導者としてのミッションのひとつのはずです。
理解できる選手は重宝して、理解できない選手はずっとベンチ、みたいなやり方をしている指導者も数多くいますが、これは本質からズレています。
3-3-1で攻撃を単調にさせないために選手全員にサッカーというスポーツを理解させる必要性があります。
選手に理解させるために指導者であるあなたが誰よりもサッカーを理解することが最も重要だと言えます。
まとめ
8人制サッカーの3-3-1は、やり方次第でどんなチームにもできます。
なので、採用しているチームも多く、改善しがいがあるフォーメーションだとも言えます。
どのフォーメーションでもメリット、デメリットがありますので、指導者として預かっている子ども達の特徴を上手く生かしてフォーメーションや戦術に落とし込んでみてください。
【指導者の指導力がチーム勝利への近道】
サッカーにおいてフォーメーションは重要ですが、フォーメーション理解だけではチームを勝利に導くことは不可能です。
選手のスキルアップ、指導者の選手をスキルアップさせる指導力が重要なキーファクターになります。
指導者がレベルアップすれば選手やチームも必然的にレベルアップします。
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